ミニメディアを地域に

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 個性豊かな地域社会を願い、暮らしと平和を育んできた私たちの地域は、15年戦争をも含む長い歴史のうえに築かれてきました。いま、地域の平和と歴史に暗黒の時代の再来を狙う、憲法9条の死文化が画策されています。この策謀を押し止め、新しい時代を切り開く力はどこにあるのでしょうか。

 地域・職域では9条の会(2004年設立)や革新懇など貴重な活動が続けられてきましたが、マスメディアは必ずしも地域住民の立場からこの逆流に効果的に反撃し得ずにいると思えます。このような局面において最も大切なことは、地域住民が創意を凝らして地域の明日を切り拓くこと、即ち、平和を希求する住民の『連帯』にありますが、連帯への基礎的な力はどこから生まれるか。それは、地域に暮らすという共通の土壌、即ち『住民自治』への志向にあると言わねばなりません。

 ひとつの事例として地域9条の会の「会報活動」に注目したいと思います。寺町台9条の会では、会報『9条・通心』が創刊以来37号となっています。会報に意見を述べることは、会員である住民が地域の明日を描くことでもあり、それを通して地域の連帯は強まってゆく。私の知る限り、このほか小立野・犀川ロード9条の会の会報では、地域の有志の貴重な意見が紹介され注目されます。いま、金沢ばかりか全県下で、平和を希求するミニメディアが創意を凝らして発動するならば、現実の事態を明るい未来に向けて切り拓く確かな力となると思います。

                  寺町台9条の会 永山孝一(2017.08・10) 

いつの時代でも価値ある建築芸術は、

 いつの時代でも価値ある建築芸術は、子どもの手に掴まれた糸がするすると伸びて大空に凧が上がるように、それを大地に引いている糸の緊張によって芸術の世界に飛翔したのである。時に、糸を断ってひとときの自由を求めた建築作品もあったが、その弱々しい光彩はたちまち消え失せてしまった(山本学治『現代建築論』一九六八年)▼その時代の、人間生活全体に強く結びつけられた糸の緊張――私にとっても座右の銘であり、今日では社会のあり方への警告でもある。先月「新国立競技場建設現場で働く新入社員自殺、 厚労省が実態調査へ」の報道に厚労相は「建設業は時間外労働が青天井の世界」と語ったが▼「近代産業の全歴史がしめしているように、資本は、もしそれをおさえるものがなければ、むちゃくちゃに情容赦もなくふるまって、全労働者階級をこの極度の退廃状態におとしいれる…」と述べたマルクスの国際労働者協会中央評議会での講演は一八六五年。わが国が明治維新に向かう「安政の大獄」の頃▼いま、バブル崩壊から二六年を経過した日本社会では、「人間発達の場」である筈の時間が「人間絶望の空間」となって、多くの青年の行く手に立ちはだかる。(こ)

時間は人間発達の場

 

 「命とは自分が使える時間。その時間を少しでも自分以外の人のために」と語り日野原重明さんが一〇五歳で亡くなられた。

 いま、わが国では、家庭と職場、都市と農村、国と地域など私たちの生活するあらゆる場面で、人間と労働の尊厳が踏みにじられ、目を覆うばかりの異常が連発している。大手広告会社「電通」をめぐる違法残業事件が問題になっているさなかに、「残業代ゼロ法案」など、むき出しの利益優先な国策が暮らしに襲いかかる。

 七月二一日には「新国立(競技場)建設現場で働く新入社員自殺、 厚生労働省が実態調査へ」のニュースが伝えられる。建設業が時間外労働の上限規制の例外になっていることで塩崎厚労大臣は「建設業は時間外労働が青天井の世界だ」と語る。

 「近代産業の全歴史がしめしているように、資本は、もしそれをおさえるものがなければ、むちゃくちゃに情容赦もなくふるまって、全労働者階級をこの極度の退廃状態におとしいれることをやるであろう」と述べたマルクスの国際労働者協会中央評議会での講演は一八六五年だった。  

 それは一五二年前、わが国が安政の大獄の頃のこと。そして今、バブル崩壊から二六年を経過した日本社会では、「人間発達の場」である筈の時間が「人間絶望の空間」となって、多くの青年の行く手に立ちはだかっている。(こ)

 

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提言:学校の教室など主要室を木造の床に

 国と自治体の事業として、小・中学校の教室・廊下など主要室を木造の2重床に改善することを提案します。私たち日本人は、古来山々に囲まれ生活してきました。山麓広葉樹林を歩くときの、その柔らかな感触を知っています。

 いま、日本の子どもたちの置かれた教育環境は、とりわけこの20年間、飛び跳ねない転ばない習性を強要する=堅いコンクリートの床=環境にありました。いま「地域再生」を考えるうえで、子どもたちの「健全な成育環境」の整備は焦眉の課題であり、生活時間の多くを占める小・中学校の教室・廊下などの成育環境の改善は特に緊急を要するものと考えます。

《提案の理由》

1、人間の居住環境において、床構造の適度な撓み性能の確保は不可欠です。とりわけ、子どもの健全な成育にとって、学校建築の主要室における床の撓み性能の確保は必須条件です。脊椎動物であり、起って活動する人間にとって足元の床構造が大切であることは論を待ちません。

2、わが国では、戦後、学校建築の不燃化・耐震化への要請があり、鉄筋コンクリート造建築に順次置き換えられてきましたが、屋内運動場についてはその多くは木造床張りとなっています。教室・廊下など主要室については、求められる床性能のうち維持管理の容易さが重視されるあまり(1)の要件が軽視されてきたといえます。

3、建築を構成する各部位の機能・材料・構法の確定は建築設計行為の中心です。とりわけ床の構造は、その建築空間の質を左右するとも言えるものです。

《教室を木造の2重床にすることの主な効用》

1、2重床の構造は 

現在の鉄筋コンクリート直仕上の床上に空気層を持った2重床を設置します。例えば空気層は70㎜で、床は杉板15㎜+フローリング材15㎜の計30㎜とします。

2、床の撓み性能

例えば、武道館などの床構造を見ると競技場の床は周囲の一般床とは絶縁されてその競技に必要な床の弾性=撓み性能が確保されています。私たちの住宅の床も普段あまり気に留めませんが「撓み性能」の恩恵を受けているのです。

3、2重床の温熱効果

特に冬になると、月曜の朝は教室の床が冷えて寒いことは知られていますが、2重床の温熱効果は絶大で、冷却された躯体コンクリートへの放熱を遮断します。また、この床下空間は教室の室温調整、さらには調湿性能の面からも有効に活用できるのです。

4、音響特性の改善

床の板張りは音響特性の改善にも絶大な力があって、反響を抑制し、先生のお話が聞きとり易くなるばかりか、柔らかい音場の形成にも貢献します。

5、地域経済への効用

使用する木材はその地域で調達。林業、製材業、加工産業を育成・促進、施工は地元の職方によりますから経済の地域循環に多大な貢献をします。

 

松川事件を記憶遺産に

 松川事件を記憶遺産に―― 東京新聞 2017年6月19日私説・論説室から(転載)

 戦後最大の冤罪(えんざい)は松川事件であろう。一九四九年に福島県内で起きた列車転覆事故である。線路継ぎ目のボルトが緩められレール一本も外され、転覆するように仕組まれていた。機関士ら三人が死亡した。

 警察は当時の国鉄の大量人員整理に反対していた労働組合員による犯行だと決め付けていた。芋づる式に組合員らが逮捕された。

 一審では被告二十人が全員有罪、うち死刑が五人、五人が無期懲役だった。二審も有罪だったが、最高裁が二審を破棄。差し戻し審で全員が無罪となり、これが確定した。

 冤罪であったことが明白となったが、その背景には弁護団の活躍ばかりでなく、作家の広津和郎が「中央公論」で無罪論を書くなど、作家らの支援運動があったことがある。

 福島大学には松川事件の資料がある。八八年に開設した松川資料室には十万点にのぼる関係資料を収集・公開している。同大ではこれをユネスコの「世界記憶遺産」への登録を目指している。既に国内委員会に対して登録申請の手続きを済ませた。

 一審で死刑判決を受けた男性(93)は十年近く拘置所に入れられ男盛りの時代を奪われた。本紙に「『共謀罪』に反対だ。実行行為すらいらず、何にでも適用できる。権力の横暴に歯止めがかからなくなる」と答えていた。

 冤罪。人間の愚かしさも記憶として後世に伝えねばならない。 (桐山桂一)

 

〝それでも地球は動く〟

 金沢・革新懇の事務局から依頼がありましたので、先日、発行された 『非核・いしかわ』6月号〝編集室から〟の拙稿に加筆してご紹介します。

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 ガリレオ・ガリレイのつぶやき〝それでも地球は動く〟(宗教裁判『異端審問』)は子どもたちも知っている。

 それと同時代の〝われ思う、故に我あり〟は、ルネ・デカルト(1596~1650年)が『方法序説』の中で提唱した命題で、科学的な考え方の基礎となっている。

 私たちも、戦後教育の中学教科書で学んだ『われとわれら』(『展望』)。その中で著者・谷川徹三は――それまで人は『われら』でしかなかったが、それ以後は『われ』であることが出来た――と述べている。

 いま『共謀罪』立法で、この『われ思う』=『内心の自由』に踏み入るならば、15年戦争に日本国民を追い込んだ治安維持法(1941年)ばかりか、『異端審問』(1633年)をも連想させることになると思う。