21世紀 市民のメディアを考える

 

現代社会において、政治・経済情報の広範な伝達にマスメディアの存在は必須であり、マスメディアなくして現代の民主政治は存立しえなかった。近代における民主主義社会は、新聞をはじめマスメディアの発達によってこそ可能であったといえる。

不特定多数の受け手に向けた情報伝達手段となる、新聞雑誌ラジオテレビ放送など現代のマスメディアの多くは、営利企業として営まれており、利潤の獲得や経営の安定が何よりも優先され、地域・国土の民主主義的発展と矛盾することがある。

 情報技術の著しい変化と、21世紀社会の民主主義的発展に相応しいメディア(情報伝達手段)の役割を考えるとき、変化は徐々に進むと思われるがメディア像の転換が想定される。

 

   20世紀 マスメディア  ――   21世紀 市民のメディア

中央管理機能からの情報の流れ     地域創造活動からの情報の流れに力点が

 

マスメディア=新聞・雑誌・放送――地域情報・同人誌・交流誌=パーソナルメディア

アナログ(紙媒体)=新聞・雑誌――インターネット・SNS=デジタル(電子媒体)

 

21世紀は、インターネット利用が急速に普及する一方、旧来のマスメディアの相対的位置付けの低下が徐々に進行している。インターネットの利用が激増する一方で、「GAFA」などに代表される、新たな情報の担い手=プラットフォーマーが急伸しているが、これらはあくまでも私企業であり、その果たすべき社会的な機能と、それを運営する組織の在り方の乖離は大きいといえる。

20世紀のマスメディアの特徴を「中央管理機能からの情報の流れ」と考えるなら、21世紀の市民のメディアが果たすべき役割は、「地域創造活動からの情報の流れ」にあると考えてみる視点も必要であろう。(こ)